Vectorworks SpotlightのGDTFとMVRが照明デザインのワークフローを効率化する方法をご紹介します。データ損失をなくし、プラットフォーム間でシームレスなコラボレーションを実現します。
目次
照明デザインの共有やプラットフォーム間で照明器具データの一貫性を保つのに苦労したことがあるのは、あなただけではありません。エンタテインメント業界は変化が速く、シームレスなコラボレーションが求められています。そのため、ファイルの再フォーマットや重要な情報の損失といった問題を避け、スムーズに使えるツールが必要です。
そこで登場するのが、GDTF(General Device Type Format)とMVR(My Virtual Rig)です。
Vectorworks Spotlightを使えば、これらのオープンスタンダードをすぐに活用できます。
それでは、さらに詳しく見ていきましょう。
1. GDTFとMVRがワークフローに重要なわけ
従来のファイル形式は、エンタテインメントやライブイベント特有のニーズに対応していません。汎用的な形式を使用すると、照明器具、トラス、メディアサーバーなど、ショーにとって非常に重要な詳細情報が失われるリスクがあります。
Vectorworks, Inc.、MA Lighting、Robe Lightingは、これらの問題を解決するためにGDTFとMVRを開発しました。これらは、あなたや共同作業者が、どのプラットフォームを使用しているかに関係なく、照明器具の共通言語を用いて、デザインを効率的に共有することを可能にします。
GDTFを使用すると、照明器具やデバイスのあらゆる詳細を1つのファイルにまとめて記述できます。さらにMVRは、リンクされたすべてのGDTFを含むVectorworksのデザイン全体をパッケージ化します。これにより、プロジェクトをプリビズプログラムやコントロールコンソール、または同僚に引き渡しても、問題なく動作するので安心です。
関連記事:VectorworksがGDTFとMVRをサポートする理由(英文)
2. Vectorworks Spotlightの主なGDTFワークフロー機能
Vectorworks SpotlightではGDTF Shareを開くコマンド(舞台照明>GDTF)からGDTF-Share サイトに直接接続でき、照明器具の種類を検索し、設計にそのまま使えるGDTFファイルをダウンロードできます。ダウンロードしたGDTFファイルは、直接リソースマネージャに取り込まれます。
カスタマイズが必要な場合は、いつでも独自のGDTFファイルに差し替えることができます。
2-2. GDTFの自動更新
GDTFファイルを更新コマンド(舞台照明>GDTF)を使用すると、時間を大幅に節約できます。GDTF-Share サイトを検索して最新のファイルをダウンロードし、マッピングレコードに基づいて照明器具にリンクします。どの照明器具を更新するか、既存のモードを維持するか、あるいは差し替えるかは、ユーザーが選択できます。これにより、手作業の煩わしさを避け、デザインを常に最新の状態に保つことができます。
2-3. MVR取り出しがシンプルに
デザインを共有する準備ができたら、MVRファイルとして簡単に取り出すことができます。取り出し時に更新オプションも利用できるため、すべての照明器具や詳細なデータが確実に含まれている状態でプロジェクトを同僚や他のアプリケーションに渡すことができます。
2-4. カスタムGDTFの作成と編集
Vectorworks Spotlightは、WebベースのGDTF Fixture Builder によるカスタムGDTFの作成をサポートします。メーカーやデザイナーなど、独自のニーズを持つどのような方でもGDTFを自ら作成・編集し、Vectorworksのワークフローに取り入れることができます。
3. エンタテインメントデザインのリアルな課題に対する解決策
設計、プリビズ、コントロールコンソールを行き来するたびに、複数の異なるファイル形式を扱う煩わしさや、データが失われるというストレスを経験したことがあるかと思います。
GDTFとMVRは、以下の方法でこうした悩みを解消します。
-
- すべての照明器具データ、形状、パラメータをプラットフォーム間でそのまま維持する
- 最新のメーカーデータで照明器具を簡単に更新できる
- プロジェクトの要件に応じて、カスタムまたはメーカーのGDTFを使用できる
- 余分な手順や情報の欠落なしに、同僚や外部のアプリケーションと設計を共有できる
VectorworksのチーフマーケティングオフィサーであるJeremy Powellは、「これらの革新的なファイル形式は、エンタテインメントデザインにおける長年の障壁を打ち破るものです。GDTFとMVRは、業界を統合するための扉になると考えています」と述べています。
<参考> University 日本語動画:「MY VIRTUAL RIG」、「GDTFファイルマッピング」 Spotlight解説講座 第32回「GDTFってなに?」
4. GDTFとMVRを始める方法
Vectorworks SpotlightにGDTFとMVRが統合されていることで、ファイル形式に悩まされることなく、あなたの創造的なビジョンに集中できます。ワークフローもこれまで以上にスピーディーかつ信頼性が高まり、次のショーでどんな状況にも柔軟に対応できるようになります。まずは以下の手順で始めましょう。
-
- Vectorworks Spotlightでいつものようにシーンをモデリングします。
- GDTFファイルを更新コマンド(舞台照明>GDTF)で、照明器具に適切なGDTFファイルをリンクします。
- Vectorworks Spotlightから直接 GDTF-Share サイトにアクセス(舞台照明>GDTF>GDTF Shareを開く…)し、GDTFファイルを検索、ダウンロードして取り込みます。
- 共同作業やプリビズへの移行の準備ができたら、デザインをMVRファイルとして取り出します。
- 独自の照明器具が必要な場合は、GDTF Fixture Builder を使用してファイルをVectorworks Spotlightに取り込みます。
5. GDTFとMVRが支えるBILLIE EILISHのワールドツアー

GDTFとMVRの業界を統合する力は、多くの大手企業から信頼されています。
Vectorworks University の動画では、Infinitus Vox の照明デザイナー Tony Caporale 氏が、BILLIE EILISHの「Where Do We Go?」ワールドツアーで受賞した照明デザインを制作する際に、MVRとGDTFがどのように役立ったかを語っています。
MVRとGDTFを組み合わせることで、Caporale氏が新しい照明器具やデバイスへの対応といった煩雑な作業に煩わされることなく、デザインに集中できる統一的なワークフローを実現したのか、その手法を下記の動画でご紹介します。
詳しくは
University動画:「GDTFとMVRが支える BILLIE EILISH のワールドツアー(英語)」をご覧ください。
画像提供:Infinitus Vox
写真撮影:Matty Vogel
元記事:NEWSROOM